近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN-P)や沖縄型ALSとも呼ばれます。沖縄県内外で推定150名と⾔われ県内を起源とする希少な病気です。
この病気は筋萎縮性側索硬化症(ALS)と類似しており神経細胞内での異常タンパク質への変異が原因起こります。しかしALSに⽐べると進⾏は緩やかで、個⼈差はありますが⼀般的に30代から40代にかけて発症し⼿⾜や体幹の筋⾁の痙攣を伴いながら徐々に体幹に近い⼿⾜の筋⼒から低下していきます。患者は体を動かす機能を徐々に喪失して⾏き、60代から70代にかけて歩⾏が困難となります。末期にはほぼ寝たきりとなり、場合によっては呼吸管理が必要となることもあります。
個⼈差はありますが、初期に腕や脚の筋痙攣を⾃覚症状とすることが多いようです。
筋痙攣は⼿・腕・⾜・脚・体幹・⾸と⾊々な部位で起こります。強い痛みを伴います。筋⼒低下が進むと筋痙攣⾃体は穏やかになってきます。
個⼈差はありますが、肩・腕の挙げにくさや脚の疲れやすさなどから⾃覚することが多いようです。腕も脚も体幹に近いところから筋⼒低下が進んでいきます。
筋⼒低下の進⾏によりあらゆる⾃⼒での⽇常⽣活の能⼒が失われてきます。また、転倒などの危険も増えてきます。
この病気との関連ははっきりしていませんが、脂質異常を伴うことがわかっています。ほっておくと⾼⾎圧や糖尿病などの別の病気を引き起こす原因にもなりかねません。
⾃覚している患者は少ないようですが、軽微の感覚の異常や嚥下困難も起こっているのではないかと⾔われています。
遺伝性を持った疾患だとわかっており、遺伝に明らかな男⼥差はありません。また遺伝⼦を持っている親から⼦に遺伝する可能性は50%だといわれています。
特定の遺伝⼦の異常によって、神経細胞内に異常なタンパクが蓄積し神経が正常に働かなくなることで起こることは判明していますが、詳しいメカニズムは現在研究中です。
専⾨医によって家族歴や症状、遺伝⼦検査などにて診断されます。専⾨医とは⾔っても希少疾患のため何処でも適切に対応してもらえるとは限りません。
現在、沖縄病院、聖マリアンナ医科⼤学病院で検査を受けることができます。
現在、この病気に対しての根本治療は確⽴されていませんが、現在患者のiPS細胞を使った治療研究がなされており、近い将来には何らかの治療薬が現れると期待されています。